12/7(土)、いたばし総合ボランティアセンター(板橋本町)で開催の、戦争と人権を考えるトーク&ライブ「回想プロジェクトTOKYO in 板橋」に行ってきました。
肢体不自由者のための日本初の公立学校「光明学校」(後に光明養護学校、光明特別支援学校~現・都立光明学園)OBであり、バンジョー奏者として活動されている佐々木卓司さんの語りと演奏。
元光明養護学校職員で、『信濃路はるか』編集協力者でもある竹下忠彦さんのお話。
戦争体験聞き語りを次世代に歌い継ぐ「回想プロジェクト」を手掛けるシンガーソングライター・清水まなぶさんのトーク&ライブ。
最後には、佐々木卓司さんと清水まなぶさんとのコラボ演奏♪
という豪華な内容でした!
戦争や命の大切さを子ども達に語り継いでいきたいと、清水まなぶさんの地元・長野県では、これまで多くの小中学校で開催されてきた「回想プロジェクト」。
この「回想プロジェクト」を東京でも広げていきたいと、ちいくタイムinfo.のトモタさんの想いとともに「回想プロジェクトTOKYO」がスタートしました。
「回想プロジェクトTOKYO」の第1回目が、2018年3月10日に板橋区役所内で開催され、2回目が2018年12月2日にいたばし総合ボランティアセンター(板橋本町)、そして、今回が板橋区で3回目の開催でした。
「回想プロジェクト」って?
「回想プロジェクト」とは、清水まなぶさんの亡き祖父の従軍体験手記をもとにした楽曲「回想」を2007年に発表したことをきっかけに、各地で戦争体験の聞き取りを始め、全国の平和人権イベントや小中学校・高校などで歌を交えて先人の教えや愛と平和、夢の実現について語り継いでいる清水まなぶさん講演活動です。
清水まなぶ シンガー・ソングライター
2000年に小室哲也・木根尚登プロデュース、自身で作詞・作曲した「サンキューニッポン」でプロデビュー。
以降、CMソングやNHKドラマ主題歌(自身もメインキャストとして出演)にもなった「君の笑顔」などを手掛け、CDリリースを重ねながらライブコンサートを中心に音楽活動を続ける。 出身地・長野県でラジオ番組パーソナリティーやテレビ番組出演、俳優業、イベントプロデュースも手掛ける。
戦時中、真っ先に切り捨てられた「障害者」
私は今回3回目の参加。毎回、語りと音楽が心に深く沁みて、涙ポロリしてしまうのですが、今回特に印象的で心がハッとさせられたのが、佐々木卓司さんの語り。
佐々木卓司さんは足が不自由だったことで光明養護学校に通われていて、現在も第1種1級の障害認定を受けられている方です。
当事者である佐々木さんが強く語られていたのが、
障害者だから「手を差し伸べる」、救って「あげてる」という“救済”という意識では、救う側が余裕がないとき、困難な状態にあるときは「切り捨て」の対象になってしまう、という現状が日本にはずっとあったという事。
まさに、戦時中はそれが現実となり、光明国民学校(当時の名称)に通う障害者の子どもたちは「役に立たない」として切り捨ての対象となり、他の小学校の子ども達が疎開している中、疎開先が与えられず、仕方なく東京の校舎に希望者を集めて「現地疎開」を行いました。
そんな中、校長先生の尽力もあって疎開先として受け入れてくれたのが長野県の上山田温泉ホテル(長野県千曲市)。そこに疎開してから10日後に、東京にあった光明国民学校の校舎は米軍機の爆撃を受けて灰になってしまったそうです。
現地疎開を続けていたら、そこにいた子ども達は、148名全員命を落としていたかもしれません。
戦時中、余裕のない中、真っ先に切り捨てられてしまっていたのが、「障害者」だったのです。
4年前に、やっと施行された「障害者差別解消法」
戦後も、「障害者」と言われる人々は社会の中で差別され、孤立し、肩身の狭い思いをしながら生きていかなければなりませんでした。なぜなら、「障害者の基本的人権」を守る法律が日本には存在しなかったからです。
2001年8月に、国連は日本政府に対して、差別禁止法を制定するように勧告してきました。それでも、日本の動きは消極的で、やっとやっと、日本で「障害者差別解消法」が施行されるようになったのは、2016年4月1日に。やっとですよ。
罰則はないものの、この法律が施行されてからは、「障害を理由に入店などを拒否したり、サポートを拒否する」ことは、法律違反となりました。
今からたった約4年前の事です。
逆に言うと、4年前まで日本では、「障害者」は差別しても問題ない、仕方ない対象であった、と言うことでもあります。
それが、顕著に現れてしまった悲しい事件が、
みなさんの中でも記憶に新しい、あの「相模原市の津久井やまゆり園の殺傷事件」です。悲しいことに、当時、その犯人に共感する声もネット上で溢れていたとか。
2016年7月におきた事件なので、ちょうど「障害者差別解消法」が4月から施行されたばかりの時です。日本の社会において、障害者に対しての差別意識がまだまだ意識的にも無意識的にも根付いているという事を、悲しくもあらわしてしまうような悲惨な事件でした。
福祉とは、「幸福」であること。
佐々木さんが強く強調されていたのは、障害を持っている持っていない関わらずに、その前に、すべての「人」が幸せになる権利がある、ということ。
対等に人として扱われる権利があること。
皆、幸せになりたいと願っていること。
「福祉」とは、広辞苑でみると「幸福」とでていて、
「弱者救済」ではない、
そんな事を、強く訴えられていました。
当たり前のことでした。
本当に、当たり前のことでした。
福祉とは、「幸福」なのです。
障害あるなし関係なく、その前に「1人の幸せを願う人間である」という事。
「障害者支援」とか、そういうことではなく、単純に、
困っている人が目の前にいたら助ける、
ただそれだけの事でした。
そんなことを、ハッと考えさせられ、
今まで自分が、「支援する側」「手を差し伸べる側」と、偉そうにもそんな風に無意識にも思ってしまっていた事、
それ自体からひっくり返して考えていきたいなと、思うきっかけを与えてくださったお話。
福祉とは、「救済」ではなく、すべての人が幸福追求する権利である、という事。
それは、「障害者だから」、とかではなく、私自身も含め、すべての人が「対等」に対象であったという事です。
実は、これが福祉の基本であるということに、気づかされ、考えさせられました。
本当にありがとうございました!!
初鴉(はつがらす) 生きるに遠慮が要るものか
佐々木さんが、見せてくださった「レッドカード」。
佐々木さんが、普段生活していて、誰かに障害を理由に差別をされることがあったとき、このレッドカードをサッと渡すのだそう。
日本では、「人権」に対しての教育を受ける機会が少ないと佐々木さんはおっしゃっていました。
「人間が人間として生まれながらに持っている権利」(広辞苑より)
子どもも、障害をもつ人も、赤ちゃんも、お年寄りの人も、どんな人もー。
これは、誰もが、平等に与えられている権利なのです。
佐々木さんは、語りの最後に、脳性マヒ者・文筆家・障害者運動家の花田春兆さんの俳句を紹介してくださいました。
初鴉「生きるに遠慮が要るものか」
(花田春兆句集『喜憂刻々』文學の森社、2007年)
小中学校で「回想プロジェクト」を開催してみませんか?
戦争とか、障害者の命、人権について、というと、普段はやっぱりなんとなく、触れるのも考えるのもどこか躊躇してしまったりすることってありますよね。
それだけに、「重い」テーマなんですよね。でも、生きていく上で、生活していく上で、実は、すごくすごく大切なもので、本当は、ちゃんと向き合っていきたいもの、というのはみんながきっとわかっている事。
特に、これからの未来を作るのは子ども達です。
清水まなぶさんが、実際の戦争体験者の声を歌にした音楽と、それを軽快なわかりやすいトークで、子ども達に語りかけてくれます。
戦争とは何か?命とは?人権とは?について、子ども達に伝え、考えてもらうきっかけづくりを一緒にしていきませんか。
戦争のない、すべての人の命が大切に尊重されるような未来を一緒に作っていきましょう!
お申し込み・お問い合わせはこちらから
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まゆっこ
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